徳島県三好市では、日本ジオパークへの認定を目指し、日々活動が進められています。ジオパークに認定されるためには、ジオパークとして守っていくべき地質や地形などのある場所を“サイト”に設定し、それらを適切に管理する必要があります。三好市ではこれまで、721㎢にわたる広大な市域に90を超えるサイト候補地を設定してきましたが、管理台帳のようなものはまだ整備されていませんでした。そこでジオパークでの豊富な経験を擁する弊社が、サイトカルテの作成をお手伝いすることとなりました。
初めに着手したのは、サイト候補地の基礎情報の整理です。まず、既存のリストやその他の情報をもとに、サイト候補地の名称や位置、法的な保護制度の有無などの基礎情報を洗い出していきました。さらに、各サイト候補地の位置を地形図や地質図にプロットしていきました。
次に実施したのが、現地調査です。サイト候補地の1つ1つを訪れ、教育・観光・科学的な観点からどのような価値を有しているのか、保全への脅威となるリスクはないか、学術論文で提唱されている客観的な手法に則り調査しました。調査には、地球科学・森林科学・考古学・地理学など多様な分野に跨る弊社の専門スタッフはもちろん、ジオパーク専門員を含む三好市の職員、地元のガイドや保全関係者も参画し、地元目線と“よそ者”目線、専門家目線と市民目線の多様な視点を取り込みました。
最後に、これまでの調査結果をサイトカルテにとりまとめ、各サイトの情報を一元管理できるように整理しました。その過程で、三好市におけるサイト候補地の設定には、守るべき価値が似通ったサイトがあまりに多かったり、「そば畑」のように場所が1ヶ所に限定できないサイトがあったりするなど、いくつかの課題があることが明らかになりました。そこで改めて1つ1つのサイト候補地の価値を見定め、それぞれの最適な位置づけをご提案しました。これらは、“三好ジオパーク”構想でのサイト設定の検討の礎として、活用いただいています。