秋田県と山形県の日本海側に広がる鳥海山・飛島ジオパークは2016年に日本ジオパークに認定され、ユネスコ世界ジオパークへの認定を目指して精力的に活動が進められています。ジオパークにおいては、観光客の方々へ地域の見どころや地域の特徴を包括的にお伝えする、ビジターセンターあるいは博物館(ジオパーク拠点施設)の役割が重視されており、その整備が求められています。しかし、2県にまたがる鳥海山・飛島ジオパークはエリアが広大で、4市町にまたがることから既設の資料館・情報発信施設等も数多く、ジオパーク全体としての包括的な拠点施設整備の方向性を打ち出す必要に迫られていました。そこで、ジオパークでの豊富な経験を擁する弊社がお手伝いをすることとなりました。
初めに着手したのは、資料収集です。ジオパーク拠点施設にはどのような役割が求められているのか、改めてジオパークの原典資料等に立ち返って整理するとともに、立地を考える基礎情報として、統計データから見る地域内外の人々の動きを可視化しました。そして現地調査に赴き、既存の資料館や情報発信施設等30ヶ所以上を訪問して、それぞれの特性や施設利用の現状を明らかにしました。
こうした机上調査・現地調査の成果を整理した上で、地元の自治体の担当者や観光客をご案内する最前線に立つガイドとも対話を重ね、さらには先進地域の担当者へもヒアリングを行い、ジオパーク拠点施設整備基本計画の案をとりまとめました。計画案では、鳥海山・飛島ジオパーク全体として複数の既存施設でどのように役割分担するか、個々の施設がどのような役割を担うかといった観点から検討を加え、ジオパーク拠点施設の整備をどう進めるか、その道筋を整理することができました。